ascal design にちにちデザイン談

デザイン活動をしながら日々思うことをスタッフやつながる仲間が気ままに綴ります

「2022 JAPAN SHOP/建築建材展」リポート

3月1日〜4日にビッグサイトで「2022 JAPAN SHOP/建築建材展」が開催されました。

今年は「JAPAN SHOP」「建築建材展」と両展示会共催の「NIPPONプレミアムデザイン」の3イベントの構成になっていました。

 

「NIPPONプレミアムデザイン」は日本古来の素材や伝統技術・デザインで作られた商材の展示コーナーで、完成度の高い工芸品さながらのアイテムが出展されていました。

どのブースも緊張感のある美しいフォルム、深みのある色合い、繊細な表現に彩られたアイテム、改めて日本のものづくりのクオリティーの高さを感じます。

 

繊細な美しさの組子細工f:id:ascal_design:20220307182944j:plain

有田焼の深みのある加飾技術f:id:ascal_design:20220307182938j:plain



今回、「JAPAN SHOP」「建築建材展」を通して感じたことは大判のタイルが多く出展されていたということ。

本物の石材の商品(特にいわゆる石積み系)はほぼなく、石目を全面に出した大判タイルがトレンドです。

柄としては石柄が多かったのですが、金属調のケミカル柄も目につきました。

技術的にインクジェット技術の進歩が顕著で実際に触ってみないと本物か印刷かわからないくらいです。

タイルのインクジェット品というとイタリアが有名ですが、最近では中国製も多いようです。

また、薄く軽くできるという事で施工性の良さもポイントです。

 

■大判タイル

大判タイルとバリエーションサンプル 105バリエーションあるとの事f:id:ascal_design:20220307183703j:plain


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ケミカル調(イタリア製)f:id:ascal_design:20220307182855j:plain

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■金属塗料を塗布したサイディング(磁石も付く)f:id:ascal_design:20220307184250j:plain



■シート品

シート品もかなりリアルなものが出ていました。f:id:ascal_design:20220307182851j:plain

 

骨材と樹脂素材からできているという事ですが、断面までもリアルです。f:id:ascal_design:20220307182833j:plain

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■その他

表面デザインで気になったのは木×布目とか金属×布目のように複数の素材感がかけ合わさっているもの。近くで見た時の繊細な表現は新鮮さと上品さ、高級感を感じます。f:id:ascal_design:20220307182840j:plain

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石材柄のカラーはグレーを中心としたモノトーン系が人気のようです。f:id:ascal_design:20220307182904j:plain

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一見、本物の窯変に見えますが、こちらもインクジェットとの事。f:id:ascal_design:20220307182901j:plain

 

こちらは和紙のパネルなのですが、遠目に見ると石材に見えます。f:id:ascal_design:20220307182932j:plain

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因みに、こちらは本物素材(薄い石材をシート状にしたもの)f:id:ascal_design:20220307182910j:plain

 

新木場の有名な木材屋さんですが今回はあえてなのか突き板シートのみの展示でした。f:id:ascal_design:20220307182926j:plain

 

キッチンも金属!f:id:ascal_design:20220307182848j:plain

 

全体的な印象としてはエンボスが演出する陰影感、凹凸感というよりは石目やケミカル素材の経年変化などの表面意匠を見せるという商品が多かったように思います。

今年も去年に続き大分規模が小さくなっておりましたが、来年こそは東館両サイドでドーンと開催されますよう願って、リポートを終わります。

 

 

 

11月のワークショップ&イベントレポート

11月末にアスカルが関わったイベントを2つ、ご紹介させていただきます。

 

1つ目は、ガラスのワークショップです。

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「ガラスフュージング」という(電気炉で板ガラスを熔かす)技法を使い、これからの時期にぴったりなクリスマスツリーを作ります。せっかく窯があるのでガラスのワークショップは何かやりたいね、と夏頃から言っていたものがやっと実現しました。

 

このワークショップは当工房の他に、日本橋のコミュニティスペース〈Flatto〉でも場所を提供いただきました。Flatto運営スタッフの方から「日本橋で働くワーカーさん向けに何かイベントができないか」とお話をいただいたことがきっかけです。

 

ワーカーさん向けということで、仕事終わりに参加しやすいよう夕方18時半〜の開催。冬のこの時間帯は三越前駅のイルミネーションも華やかでクリスマスムードが漂っています。

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この駅のすぐそばに、Flattoはあります。登録無料のアプリ会員なら誰でも利用できて、お昼を食べにちょこっと寄れたり、習い事が開催されたり、ラウンジや貸しスタジオのあるおしゃれ空間です。

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そして今回のワークショップでは講師をお迎えしました。

インスタグラムから当工房を知ってくださった コルデコガラス様( @coldeco.glass )です。

まだ知識や経験の少ないアスカルがかねてより窯の使用やガラスについて多くのアドバイスをいただいている、とてもお世話になっているガラス作家さまです。

ご自身でもワークショップを開催されているとのことで、当日も手際良く進めてくださいました。

 

さて、ガラスツリーの作り方はとてもシンプル。

ベースとなる三角形のガラス板の色(グリーンかクリア)を選び、あとは好きな色のガラスをバイキング形式で選び、自由に乗せていくだけです。

 

とは言え、このガラスの数々...!

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これだけ綺麗な色が揃っていると、見ているだけで楽しくなってきます。 事前にイメージスケッチを描いて参加してくださった方もいたのですが、たくさんのガラスを前に悩まれておりました。その気持ち、よくわかります。 

 

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道具の使い方や難しいカットはこちらもお手伝いしつつ、ガラス用の接着剤で固定しながらデザインを決めてもらいます。

 

そして後日、出来上がったツリーは当工房の電気窯で焼成

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こちらは焼く前。ガラス板のパーツを乗せた状態なので、少し角のある見た目なのですが

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焼成後は全体がくっつき一体化。角が取れてすこしだけゆるやかな表面になります。

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丸いガラス玉はそのまま形を保っていていますが、この溶け具合は温度や設定によって変わってくるので、ちょうど良い焼成の設定はこれからも検討していきたいところ。

 

 

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それにしても色とりどりの作品が並ぶと本当に素敵で、全部家に持って帰りたいくらいです。サンタとトナカイ、雪だるまがいるデザインも可愛い...!

 

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木の台座&電池式キャンドルもセットでお渡しですのでお部屋を暗くして眺めるのも◎。

 

ちょうど今、窯で焼成が終わって作品の受け渡し期間なのですが、取りに来られる皆さん「わーすごい!綺麗!」と、とっても喜ばれています。

ガラス素材の魅力に加えて、コンパクトなので場所も取らず、毎年使えるだろう素敵なクリスマスアイテム作りとなりました。

コルデコガラスさま、Flattoのスタッフの方々、誠にありがとうございました!

 

 

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2つ目にご紹介するのは「 紙の遊園地 」というイベント。

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以前メルマガで、紙専門の卸商社〈中庄株式会社〉さまのご紹介をさせていただきましたが、その創業239年、日本橋の老舗〈中庄〉さま  ×  全国各地でワクワクをカタチにするアート集団「アトリエヤマダ〉さまが開催する、日本橋エリアを盛り上げる3日間のイベントです。

こちらにアスカルも参加させていただきました。

 

▼〈中庄株式会社〉さまのご紹介の回

ascaldesign.hatenablog.com

 

 

内容としては馬喰町〜小伝馬町付近のエリアでスタンプラリー形式となっており、今回は〈MADE in 日本橋〉を4会場のひとつとして場所提供。

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子供が楽しめる企画が中心となっており、各会場ペイントできるダンボール迷路や、ドラム缶危機一髪、磁石のドミノ、中庄さんの和紙を使った作品などなど、様々な展示やワークショップがありました。

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そしてアスカルで行うことになった催し物はこちら。

テーブルなど移動してスペースを確保したこの工房空間に

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突如巨大な段ボールカーが出現しました!

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この車にいろんな素材をペタペタ貼って、たくさんデコレーションをしてもらう、

【わくわく!巨大段ボールカーをデコっちゃお】という企画です。

段ボールカーはアトリエヤマダさま制作。車の中にはちょっとした迷路にもなっています。

 

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貼り付ける素材は、中庄さまのカラフルな色紙や和紙、輸入紙、芯の入っていない鉛筆や梱包材など。これらは全て端材を利用したものです。

アスカルからも、石柄などのミスプリント、木片、アロマストーンや植木鉢の失敗作、割れてしまった型、壁紙の切れ端など、少量ながら端材・素材を提供。

だいぶアスカル色が強めですが、果たして子供達に使ってもらえるのか...

 

 

イベントは土日の2日間がメインとなりました。

何かとっかかりがないと子供たちも貼りずらいだろうということで、まっさらの車に少しだけスタッフが手を加えて来場者を待ちます。ヤマト糊を使うのはいつぶりでしょうか、匂いや手触りが懐かしいです。

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そしてお昼頃からだんだんと来場者が増え、

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アスカルの素材も手に取ってもらえています。

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右下の女の子が張っているのは御影石のミスプリント...ピンクが下地になると石柄もキュートに見えてきますね。

 

途中、こちらで用意した石膏素材から白い粉の採集が始まり床が真っ白に!という一幕もありました(その後石膏素材はすぐに回収)。

手が白く汚れてしまうかな...という懸念はあったのですが、まさか擦り削り、粉を大量生成することに面白さを見出すとは。子供の発想力と素材への探究心、凄いです。

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そんなこともありつつ、車の装飾グレードアップは進み...

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完成したのがこちら!

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前も後ろも中もとっても華やか、フロントも素材もりもりです。用意した素材もたくさん使ってくれています。3日間、来場者の方の合作です。

 

「紙の遊園地」ではお子さん連れのご家族がもちろん多かったのですが、中にはおひとりでいらしてデコレーションしていく方や、お子さん以上に無心で素材を貼り付けていくお母様も見受けられ、大人も楽しめる内容であったなと思います。

 

そして普段あまり出入りのない子供たちや一般の方にご来場いただき、この場所を知ってもらう貴重な機会となりました。今年初&地元の日本橋開催という素敵なイベントに関われたこと、中庄さま、アトリエヤマダさま、たくさんのご協力に改めて感謝いたします。

 

今後も工房利用の新しい可能性や、窯や設備・素材を使ったワークショップ、何か面白い企画など定期的に行っていければと思いますので、どうぞお楽しみに。

 

 

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ちなみにイベント終了後、段ボールカーはその日のうちにすぐ撤去されました。もったいないですが仕方なし...

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「ギフトショー・IFFT」リポート

10/13〜15に開催されたギフトショー秋2021と、

10/18〜20のIFFT/インテリアライフスタイルリビングに行ってまいりました。

今回はこちらの展示のリポートをお伝えしたいと思います。

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南館1階の様子

前回に比べ、空きブースも少なく活気ある会場でした。

全体を通して目立っていたアップサイクル、エシカル製品の中から

気になったものをいくつか紹介させていただこうと思います。

 

まずギフトショーからはタイの素材コーナー。

前回の展示に続き2度目の出展だと思います。

タイでは30代くらいの若い世代が中心になって

環境に考慮したものつくりに力を入れているらしく、

廃材を加工したおもしろい素材が並んでいました。

 

 

▼レーシングカーやラッピングバスなどの車の表面を覆うシートを裂いて編んだテキスタイル。

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耐久性に優れ、そして華美です。

 

▼伐採した木材の中の空洞が多いものをあえてくり抜いて埋め込んだ寄木。

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輪郭が天然の木材の輪郭なので不思議な印象が受けました。

 

▼廃棄されたカバンや端切れの革を特殊な薬剤で固めたリサイクルレザー。

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各色のトーンは同じにできるそうですが、

アクセントのように違う革の色が入ってしまうそうでそれがユニークでした。

 

▼パルプを固めた素材。

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よくある作り方ではありますが、パッと見たとき焼き物かと思う質感になっていました。

 

▼家具を作ったときにでる廃材を使ったアートピース。

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ホテルの客室などで使われているそうです。

 

 

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以下はIFFTからです。

 

▼今回一番気になった建物と取り壊したときにでる廃材のアップサイクル製品。

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メーカーではなくデザインスタジオの企画製品のようです。

 

波佐見焼の生産過程で大量に出る廃棄磁器を砕き、セメントで固めたもの。

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テラゾーのような仕上がりでしたが、所々に絵付けが見られ温かみを感じました。

▼規格外の布のアップサイクル製品。

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自然が生みだす模様のように同じものは一つとしてないそうです。

すでに店舗什器として採用されている例があるようです。

 

 

ギフトショーでは国内のアップサイクルは海外より少ない印象でしたが、

IFFTでは国内のメーカーの現在の生産方法からより自然環境を考えた方法へと

試行錯誤をされている様子が伝わってまいりました。

 

 

たくさんの出展からのごく一部の紹介でしたが

今後も展示会や新しい施設のリポートなど続けていきたいと思います。

世界の紙×アスカル(建材目線)

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当社の新規事業「MADE in 日本橋」の活動をしている中で、同じ日本橋内で230年以上の歴史ある紙の専門卸商社、<中庄株式会社>様と繋がらせていただきました。

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今まで紙と聞くと、印刷紙か画紙か和紙など...それぐらいの大まかな種類でしか考えていなかったのですが、中庄株式会社様の事務所には上記の紙に加え、世界中の紙から集められた紙があり、デザイナー心が踊る思いでした。

取り扱われているのは、タイやネパールなどの東南アジアの手漉き系の紙に加え、ヨーロッパの紙など実にグローバルです。

今回はその中から、壁などの建材のデザインの参考になりそうなものを数点購入させていただきました。

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象のフンから作る紙もあり、SDGsの観点からも注目です。

(象の胃の消化成分が、手漉き和紙を作る際の材料と成分が近いそうで、紙づくりに向いているということです)

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「MADE in 日本橋」という地元の住民、企業と繋がりたいというコンセプトもある中、

世界中の紙と建材デザインが繋がるキッカケに当社がなれたらと思います。

中庄株式会社様では一枚からの紙の販売もされていますので、ご興味がありましたら是非ご一緒しませんか?

きっと今まで見たことない紙の、色、テクスチャー、質感にワクワクする間違いなしです!

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また中庄株式会社様は、11月下旬に日本橋内を盛り上げるイベント「紙の遊園地」を開催予定です。そのイベント会場のひとつが当社の「MADE in 日本橋」となる予定ですので、ご興味ございましたらぜひお越しください!f:id:ascal_design:20210928183052j:plain

MADE IN 日本橋でDIY

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MADE IN 日本橋。この春にプレオープンしてから少しづつですがお問い合わせも増えてきました。

今回は、地域型SNSピアッザにてつながった田平様が、MADE IN 日本橋DIYスペースとしてご活用いただいた事例をご紹介しつつMADE IN 日本橋の活用法をご提案したいと思います。

 

きっかけは田平様がMADE IN 日本橋の見学に来られた時に、設置されていた作業台を見て、「こんなデスクを作りたいと思っているんです!」とおっしゃられたことでした。

田平様が作りたいデスクは、大人と子どもが並んで座れるH1900㎜×W500㎜の逆V字脚のデスク。

ご自宅でDIYされるには、若干大物です。

 

MADE IN日本橋ではヤスリやニス作業なども周りを気にせず行えます。

自宅では準備が大変な作業もどんどんチャレンジできて、ものづくりに集中できる環境ですので、今回の制作にはぴったりです。


 弊社では、事前にお打ち合わせをさせていただき、資材や機材のアドバイス。また当日、スムーズに作業が行える様、準備サポートさせていただきました。

 

作業の方は、奥様、息子さんも参加され楽しく順調に進み、無事立派なデスクが完成いたしました!

 

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 作業の様子については田平様がpiazzaにて詳細にレポートされています。↓

www.piazza-life.com

 

この様に、自由な発想でMADE IN 日本橋をご活用いただけるのは大変嬉しく思います。

 

MADE IN 日本橋スペースは、今回活用いただいた木工工具や切削機、3Dプリンターなどでモックアップ制作を行う他にも、カラープリンターやWi-Fiもお使いいただけるので、アイディア出し、企画書作成などのコワーキングスペースとしても十分お使いいただけると思います。

 

テレワークやコワーキングスペース利用も一般化し、オフィスだけがワーキングスペースではなくなってきています。

いつもとは違う設備や環境の中だからこそ生まれる新しい発想、アイディアもあるかもしれません。ご要望があれば、各マテリアルの専門家をお招きしてブレインストーミングなども行っていけたらと思っております。

 

是非、自由な発想でMADE IN 日本橋をご活用ください。

 

 

 

アスカル、ガラスはじめました。

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陶芸窯を使って、ガラス作家さんのご指導のもと、

ガラスフュージングをしました。

 

ガラスフュージングとは

電気炉で板ガラスを熔かして器やアクセサリーなどを作る技法です。

 

今回の目的は、

1、窯ぐせを知る

2、陶芸の窯とガラスの窯が併用ができるか

3、石膏、ケイカル板が型として使えるか

 

以上3点を明確にすることです。

 

 

1つめの窯ぐせは、

炉内温度の上がり方、下がり方、

窯の中の位置によって温度のムラがあるので

どこが一番温度が高くなるのかなど把握します。

 

 

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このように並べて熔け方の具合からクセをみます。

また、板ガラスによっては熱を加えることで色が出るものもあるので

その発色も確認します。

並べる際にはアルミナでできた紙を敷いて、棚板に付くのを防いでます。

はじめは紙ですが、焼けるとホワホワな粉になります。

 

焼成プログラムは作家さんが通常やっているものを

ほぼ転用させていただき、

最高温度770℃まで全力で上げて15分温度キープ。

482℃で30分キープ、これは熱割れ防止のため。

そのあとは100℃まで全力で下げる設定です。

(この全力とは0時間で770℃まで上げるといったものです。)

 

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できたものがこちらです。

作家さんが言うには想定していた770℃より低い熔け方だそうです。

写真左の色のツブツブは、もう少し熔けて

下の透明ガラスと同化するイメージでした。

右もイメージとしてはもっと熔けて丸い形になるはずでした。

発色に関しては問題なく、中央のブルーとイエローは綺麗に出ています。

 

以上のことから、使用している窯は

設定温度より気持ち低い温度で、

気密性が高いので冷めにくく、

手前側の扉近くは炉内でも若干温度が低いかな?

くらいのクセがあることがわかりました。

 

 

2つめの陶芸と併用できるかの心配は、左写真の中央に出ています。

おそらく前回のやきもの焼成時に黒い土を置いた箇所です。

アルミナシートが黒くなっただけでガラス自体には影響はないので

併用は可能とすることにしました。

 

 

焼けることがわかったので、

次は今回の目玉テスト、型が使えるかどうかです。

型はこの2種類を使います。

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左が石膏、右がケイカルを切削したものです。


 

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板ガラスを専用の「くい切り」というニッパーのような道具で

細かくパキパキカットしていきます。(楽しい)

 

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カットしたガラスを型に敷き詰めます。

 

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もう一つはシンプルに板ガラスを乗せてみます。

 

今度の焼成はプログラムの時間は同じで、

最高温度を800℃に変更しました。

 

 

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焼けたものです。

ガラスの盛りが足りなかったので穴が空いてしまいましたが、

石膏型の凹凸はしっかり拾っています!

 

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こちらもやわらかく凹凸を拾っています。

どちらも離型剤を使っていたのもあって

すんなり型から外れました。

 

ガラスには

熱が加わると丸くなりたがる性質と

重ねて厚みがあっても6ミリになりたがる性質があるようで、

そのためにこのような独特な丸みになるのでしょうか…

丸くても端は鋭いバリがあるので研磨必須です。

 

そしてこちらはジェスモナイトという樹脂です。

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熔けて混じることを期待して、

ガラスを乗せて窯に入れてみました。

 

 

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粉砕しました。

ですが、上に乗せたガラスは

ジェスモナイトのテクスチャーを拾っています。遺影ですね。

 

 

このように失敗しながらも試行錯誤を繰り返し、

アスカルならではの視点で、

デザイン型との組み合わせ、

素材との組み合わせを研究してまいります。

どうぞご期待ください。

 

また、インテリアで使ってもらえるような商材へと、

昇華させていきたいです。

ご一緒にプロジェクトご参加してもらえるメーカー様、募集中です!

 

 

 

 

 

 

〜番外編〜

陶芸もガラスも窯に入れると1日は出すことができません。

そこでワークショップで何かできないかということで、

現在作っているアロマストーン・コースターの型に

ガラスを混ぜた石膏を流し込んでみました。

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ガラスに重みがあるので石膏を入れても浮くことなく、

削り出せばテラゾーのようになりそうです。

 

 

MADE IN 日本橋、窯始めました

というわけで、今回は新しく導入した窯を使ってみたレポートです!

焼き物に詳しいスタッフがおりますので、試運転を兼ねてチャレンジしていきます。

 

まず焼き物のざっくりとした手順は下記の通り。


1、土で焼きたいものを作る

2、乾燥させる

3、素焼き

4、釉薬を塗る

5、本焼き

 

こんな感じで、2回に分けて焼いていきます。

乾燥や、窯の中の温度が下がるのを待つなど、作業時間以外に待機の時間があるため、全工程終わるまで1週間強のイメージです。

 

 

1、まずは土でテクスチャー作り

 

●シリコンで石肌を転写する

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いつもは石膏や、当社で配合・制作している粘土素材で型取りするところを、土で転写。

「黒泥(こくでい)」という黒っぽい土を使用しています。

造形が甘くなるかと思いましたが、見た感じちゃんと取れていそうです。押し付けた後、すぐに剥がせます。

 

 

●骨材を混ぜてみる

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土に水を入れてペースト状に。さらに、左官などに入っている骨材を混ぜこんでみました。

いつもの粘土素材は骨材を混ぜるとザラついた表面の仕上がりになるのですが、焼き物ではどうなるでしょう。

 

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比較のために骨材あり(左)と、なし(右)のパターン、両方作ります。

 

 

●木型

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土が張り付いてしまわないかと思いましたが、綺麗に剥がれてくれました。

また、エッジが丸くて木型で見るより可愛らしい印象です!

 

 

●ローラーで跡をつける

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他にも、3Dプリンターで作ったローラーで表面に模様をつけてみたり、

 

 

●その他の道具でテクスチャー作り

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布・スプーン・定規など、いろいろなもので土を加工・テクスチャーを施してみます。

こちらは先ほどより明るくベージュっぽい「多治見土(たじみつち)」を使用。

 

よく弊社で使う「くしびき」の手法は、エッジがシャープなものはうまく引けませんでした。角が丸いものは形が出やすくきちんと引けました。

 

このように作っていって、

 

 

2、乾燥させる と、こんな感じに!

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乾燥時間は1日半くらいでしょうか。

全体的に水分が飛んで、1段色が明るくなっています。

また、乾燥の過程でどうしても反りやヒビ、少し崩れたりしたものも見られます。

 

 

3、素焼き

さて、次は1回目の窯、「素焼き」です!

比較的低温で焼いて、水分や不純物を飛ばす工程です。

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乾燥したのもはくっついたりしないので、重ねてしまってもOK。

棚板を立てて、作ったものを全部入れます。

 

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これで、700度の素焼きプログラムをセットしてボタンを押せば、6時間かけて窯が自動で温度を上げてくれます。なんと便利。エアコンのタイマーと変わりない簡単操作です。

これが金曜の夕方だったので、週明けには出来上がっているはずです。

 

 

 

〜そして月曜日〜

 

 

 

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色が変わりました!

黒泥のグレーはさらに明るく、ベージュっぽかった多治見土は オレンジ色に。

タイルの色名なんかでよく聞きますが、これが本当の「テラコッタ(=素焼き)」ですね。

 

 


4、釉薬を塗る

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このとろみのある液体が釉薬です。ガラス質の粉などが主成分。

今はグレーですが、焼くと緑がかった色になるそう。また、釉薬は狙った色を出すための配合が難しいのだとか。

 

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刷毛で一部表面に塗ったり、掠れさせたり、浸けたりして釉薬の塗布完了です。

こちらは土の乾燥とは違って、半日ほどですぐ乾いてくれました。



5、本焼き

 いよいよ最後の段階です。
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 本焼きは素焼きと違い、1230度の高温で焼きしめていきます。

窯の稼動時間としては8-9時間ですが、1230度にまで上がった窯の中の温度が冷めてからでないと扉は開けられないので、焼きあがった後も1-2日待つ時間が必要です。

 

 

〜そして焼き上がり〜 

 

 

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できたものを見ていきます!

 

 

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多治見土はこんなに色が変わりました。

触った感じ、表面の質感も、素焼きの方は粉っぽくやわらかいのに対して、本焼きはしっかりざらっとした焼き物の手触りです。

 

 

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同じ黒泥で、骨材有無の比較。骨材を入れた方は茶色っぽくなりました!

また骨材のザラザラした粒が燃えて無くならずに残っています。

 

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ただ、骨材ありの方は全体的にヒビが入りやすいようです。ペースト状で水分が多いので乾燥の段階でそうなるのか、骨材を入れたことが原因なのか...

 

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しかしヒビや割れが入ったことで焼き物らしく良い雰囲気の表情になったものもあるので、割れがマッチするテクスチャーを考えていけると良いのかもしれません。

 

 

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型と、焼き上げたものの大きさ比較。一回り縮むのは知っていましたが、土によって縮小比率もだいぶ違います。黒泥や磁器の土は特に小さくなりがち。

 

 

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表面の反りは、流し込んだものの方が若干ですが、抑えられている印象。

 

 

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こちらはシリコンで転写した、同じテクスチャーです。

すぐに剥がした方はちょっと造形が甘くなっています。きちんと乾燥してから剥がす方が、正確な造形を写し取れそうです。

 

 

  

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跡をつけて作ったテクスチャーはしっかり形が出ている印象。

特に左下は焼き物ならではのガサつき感で石膏や転写では出ない表情です。

 

 

 

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 そしてこちらが釉薬をかけたもの。全体的に綺麗な青になっています!

ただ、本来緑っぽくなる釉薬を使ったので、焼き物に詳しいスタッフは「なぜ?!」と若干困惑気味でした...この色自体はすごく綺麗ですが!

 

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 本来、右の丸いものの色味が一番狙った色に近いようです。温度が要因か、釉薬の厚みが要因か...やっぱり調整は難しそうです...

 

 

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近くで見ると光沢感があって、金属っぽくも見えたり、薄くかすれて釉薬がかかった部分はシルバーっぽい色味でもあったり、

 

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溝や厚く盛ったところは釉薬が溜まって深い色になっています。

また、釉薬と土の部分のキワに、赤茶っぽく焦げたような跡が見えますが、これは「緋色(ひいろ)」と言って、土の中にある鉄分が引っ張り出されて偶発的に出てくる色なんだそうです。

調整できない要素があるのは一つ一つ味が出て面白いですね!

 

 

 

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以上、まずは窯で何ができるか探ってみたレポートでした!

 

今回はテクスチャーメインでの制作でしたが、いつもの素材や造形を焼き物に変換するのはかなり新鮮でした。今後、他にもできることはたくさんあると思うので、新しいものづくりに挑戦していければと思います。

今後の続報もお楽しみに!

 

 

また、今現在「MADE  in 日本橋」では、操作に慣れている方・経験のある方にはこの窯の貸し出しも行っております。

もしご興味ある方いらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談くださいませ!