ascal design にちにちデザイン談

デザイン活動をしながら日々思うことをスタッフやつながる仲間が気ままに綴ります

ガラスのクリスマスツリー 今年は「こぎん刺し」デザイン

今年のガラスのクリスマスツリーには、新たに「こぎん刺し」デザインが加わっています。

きっかけは、Made in 日本橋のワークショップで知り合ったこぎん刺し作家さんの<zizi no ie・岡澤さま>からのアドバイスでした。

青森の伝統工芸「こぎん刺し」

こぎん刺しとは、青森県津軽地方の伝統工芸で、日本三大刺し子のひとつで、「モドコ」という基本模様を組み合わせて柄を作っていきます。

・モドコの一部

これら「モドコ」は植物や動物、昆虫、田畑に由来するものが多く、こぎん刺しが暮らしの中から生まれたものであることがうかがえます。

 

現代でも作家さんたちによって、様々な作品に展開されています。

こぎん刺しによる現代の作品/<zizi no ie>岡澤さま

こぎん刺しのパターンを組み合わせて柄をつくっていく作業が通常のデザインワークと通じる部分も多く、また作品を作る要素としてもとても魅力的だと感じ、今年の夏頃からガラスとこぎん刺しを掛け合わせた作品の模索や試作を始めました。

 

方法1)従来通り、耐火石膏に模様をつくりガラスに写しとる。

 

いつものように型をレーザープリンターで作り、石膏型にします。

ガラスを乗せて焼成

しかし、深さが足りなかったのか、柄の出も弱く、点字ブロックのような印象です。

また何より機械的な仕上がりになるのが今回イメージしているものと違い、断念。

方法1で使用した型

 

方法2)ガラスの棒を細かくカットし、こぎん刺し風のガイドに並べて模様をつくる

 

こぎん刺しをイメージしたガイドラインの上に、細く細かいガラスの棒をひとつひとつ並べていくシンプルな方法です。地道で時間のかかる方法ですが、ガラスの歪みや不揃い感があり、作った人それぞれの癖や温もりが仕上がりに表現され、とても温かみのある作品になります。

試作で、去年好評だったガラスのクリスマスツリーを作ってみたところ、制作に時間がかかる分、完成した時の達成感はひとしおで、出来上がりもコラージュのツリーとはまた違ったものになりました。

ガイドラインがあるので、一からデザインを考えなくても良いというメリットもあり、今年のガラスのクリスマスツリーのワークショップに加えることが決定しました。


ガラスのクリスマスツリー ワークショップ

今年は新たに加わったこぎん刺しタイプと、従来の自由にパーツをデザインできるタイプでの開催になりましたが、こぎん刺しタイプの方が半数以上になりました。

こぎん刺しデザインの制作は根気のいる繊細な作業ですが、中には3時間以上かけて制作される方や、小学生の参加もあり、皆さんの集中力や作品に対する思いには感心させられるばかりでした。

どの作品も素晴らしく、今年も世界にひとつだけの最高のクリスマスツリーがたくさん出来ました。

私たちとしては、素晴らしい作品作りのお手伝いをできたこと、そして、日常ではなかなか触れることのない伝統文化を、ワークショップをきっかけに若い方や子どもたちに伝えられたことを嬉しく思います。

 

今後はハンドメイドタイルならぬ、ハンドメイドガラスというか何というか...色々模索しておりますので、期待してお待ちください。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。