ascal design にちにちデザイン談

デザイン活動をしながら日々思うことをスタッフやつながる仲間が気ままに綴ります

TOKYO MOKUNAVI

お久しぶりです。

2024年最初のレポートは、
昨年9月、新宿のリビングデザインセンター「OZONEに新しくオープンしたスポットのご紹介です。

東京都が運営している場所で、
東京の森林と、とうきょうの木の恵みを感じることができる体験型ショールーム
「TOKYO MOKUNAVI(とうきょうモクナビ)」


主に下記5つのことができるスペースです。

・とうきょうの木製品の展示
・東京の森林・林業について知る
・とうきょうの木や木製品、事業者を紹介
補助金の案内
・イベントやワークショップ開催

 


ここではナビゲーターの方が常駐しているので、いつ訪ねてもとうきょうの木について詳しくお話を聞くことができます。建築関係、メーカーさまはもちろん、一般の来場者さまもちらほら。視界を遮らないオープンな空間なのでふらりと入りやすく、私たちが見ている間にもご夫婦やご家族連れが何組か立ち寄り、興味深そうに展示を見ておられました。


さて、ショールームでまず目に入ってくるのがさまざまな木関連、木製品の展示です。

 

ここにあるのはすべて、とうきょうの木が使われているプロダクト。

今はオープンして最初の展示ということで、用途や種類別にジャンル分けられた木製品の展示がメインでした。屋内外の家具や、

 

玩具/遊具。真ん中の半分に割った丸太のようなものは、叩くと木琴とマリンバの間のような、軽やかで可愛らしい音が鳴る楽器でした。

 

パーティーシーンで役立ちそうなお皿、

 

香りの製品ではヒノキのエアーフレッシュナーをシュッとひと吹きしてもらいました。
生木に近いスッとした香りではなく、ゆずなどの香りも程よくブレンドされてやわらか〜い良い香りです。


それから世界初、木を蒸留して作ったお酒(!)は、東京檜原村産のヒノキとじゃがいもでできているそう。どんな味なのか気になりますね...!


もちろん、建材エリアもありました。



そして建材といえば、空間に使われている木にも注目です。
やはりショールームを構成しているものも全て、とうきょうの木で作られています。

 

まず、空間のゾーンニングにも一役買っている枠組み。

こちらは今回のためにオリジナルで設計されたものだそう。


木と金属。シンプルな構成とパーツで機能的に作られています。

 

角材を平置き( □ )ではなく、45度回転( ◇ )して使っていたり、丸みを帯びた角の処理など、細やかな工夫にオッ!と思いました。


また、こちらの什器はスギ材にクール系のグレー塗装。
表面の木目が透けて見える程度の塗布にとどめているため、木の持つ素材感や節のあるナチュラルさ・カジュアルさは損なわず、しかし色味でモダンなイメージに仕上げてあります。

 

そして足元はスギ材の床です。



こちらも木目が透けるグレー系の塗装なのですが、什器よりも色のバラツキが大きく、より自然な木の質感を感じます。色味もグレイッシュながらあたたかみのあるスモーキーなダーク系で、落ち着いた印象。

 

ライトアップされている箇所と、影になっている箇所でかなり色の見え方が違います。

 

当初この空間は、すべて無垢材(塗装なし)で仕上げる予定だったそうなのですが、「木製品を展示するのに、空間が木の色味ではプロダクトが目立たないので絶対にやめた方が良い」と、担当者の方が床と什器をグレーで塗装する案を推したのだとか。

確かにこの床が明るい生木のような色味だったら、と想像すると
ぐっとトーンダウンしたグレイッシュな床と什器はとても効果的に感じます。「あたたかみのあるナチュラルな木質空間」ではなく「シックで上質な展示空間」の雰囲気を作っているのは間違いなくこの床の色味です。照明の効果も大きく、空間にコントラストがついてドラマティック。狙い通り、陳列物1つ1つも見やすいスペースです。

 



さて、奥に進んだところにあるテーブルペースにあるのも
もちろんとうきょうの木で作られた椅子とテーブル。



デザイン違いで楽しいです。

座り心地を比べていたら、指1,2本でも余裕で持ち上がるくらい軽い椅子がありました。強度のための塗装や処理をしていない椅子なので、これがスギ材本来の重さだそうです。


また、ここの壁面に寄ってみると

初めてみる板材でした。

コルク寄りの木毛セメント?2つのあいのこ?と思ったのですが、コルクほど表面がもそもそしておらずなめらかで、木毛セメントほど大味でなく細かいチップを押し固めたように見えます。

この素材は先ほどの建材エリアに展示されていた製品のひとつでした。

木を薄くスライスする突板の技術を応用した「突板チップボード」です。

色味が明るく、なんとなく若い世代が好みそうな、フレッシュでヘルシーなイメージを受けました。


スペースの背面にあった引き出しにも同じ素材が使われています。

真鍮の把手と木。明るい色味が気持ちの良い組み合わせです。

本当に、細部まで木をふんだんに使用した空間でした。



最後に、テーブルスペースで見せていただいたマップが面白かったのでご紹介を。
マップの緑の部分は東京の森林部です。


西東京や、伊豆諸島、小笠原諸島などの島々からなる東京。
都心・ビル群のイメージが強いですが、その面積の約半分〜1/3 は山や森林です。
それ自体はなんとなく聞いたことがあり知っていたのですが、改めてマップで見ると緑の多さに驚きます。


東京にも森と原木市場があり、伐採、製材、林業が日々行われているのだな、と
木々に関わる方々の情報や商品に触れることで改めて感じられました。

「TOKYO MOKUNAVI」は、一定の期間ごとに展示も入れ替えがあり、立ち寄るたびに新しい情報に触れることができる場所です。

木に関わる情報をお探しの方はぜひ一度、見学されてみてはいかがでしょうか?

東京新スポット「東急歌舞伎町タワー」「虎ノ門ヒルズステーションタワー」

お久しぶりの更新です。

今回は2023年オープンの施設2件の見学レポートです。どちらも注目のスポットなので様々なところで取り上げられていますが、アスカル視点でレポートいたしますのでお付き合いいただけると嬉しいです。

 

東急歌舞伎町タワー

1件目は、今年4月に新宿歌舞伎町にオープンした「東急歌舞伎町タワー」です。

地上48F、地下5Fの国内最大級のエンターテイメントビル。コンセプトは「好きを極める。」

地下にはホールやライブハウス、地上階にはレストラン、ゲームセンターや映画館などのアミューズメント施設、そして最上階にはホテルが入り、ここを拠点に1日中新宿を満喫できる仕様になっています。

まず外観に圧倒されます。

元々この土地に水源があったこと等から、噴き上がる噴水をイメージしたデザインとのことで、低層部分はアーチを組み合わせた形状のアイアンメッシュ、ガラスには白い縁取りが施され、確かにビル自体が空に噴き上がる大きな噴水のようです。

 

アイアンのディティー

 

ガラス部分のあしらいを内側から見る

エントランスを入るとすぐ、日本の祭りをテーマしたエンターテイメントフードホール「新宿カブキHall~歌舞伎横丁」がお出迎え。

極彩色で華やかな空間は、SFやファンタジーの世界に紛れ込んだような錯覚に陥ります。


そんなド派手な空間を横目に、エスカレータで上の階へ。

エスカレータ横の壁面にはランダムに電飾のスリットが施されているのですが、これが反対側に映り込んで、下の歌舞伎横丁の派手な空間と絶妙に溶け込み、浮遊感のある不思議な空間をつくっていました。

このランダムスリットのデザインはいたるところに見られたので、デザインテーマのひとつになっているのかもしれません。

エスカレータ横のメッシュパネルも正面から見るとただのメッシュパネル(左)ですが、斜めから見るとスリット状に光源が!(右)(写真が上手く撮れていなくて申し訳ないのですが‥)

 

こちらはスリットデザインとは少し違うのかもしれませんが、斜めのモノトーンのはけ目柄と、木目柄。それぞれにランダムなアクセントラインが入っています。

このスペースは空港から直行のバスが発着するバスターミナルのエントランス(下)とホテルへのエレベーターホール(上)です。

印象的なアートも飾られていて、エントランス部分の華やかさとは違う独特な迫力ある空間になっていました。

バスターミナル

 

ショップのファサードはネオン管やメタリックを多用し派手な演出が目立つのですが、ネオン管をはじめ、どこかレトロで暖かみを感じるデザインが多いように感じました。一方、映画館やレストランなどはシックで上品なデザインで様々な層へのアプローチを感じました。

 

マテリアルに関してはフラットに近い表面形状に、柄や模様の入ったものがメイン。

木目は所々に使われてはいましたが、一時期より少ない印象です。

使用マテリアル


インバウンドを意識した施設で、実際来客者を見ても海外からの観光客が多くみられました。柄や素材の組み合わせなど全てがコントラスト強めで、情報量がすごいなと感じるところが多々ありましたが、旅行や観光のワクワク感を増すデザインなのかもしれません。

 

 

虎ノ門ヒルズ ステーションタワー

2件目は10月6日にオープンした虎ノ門ヒルズ最後の高層ビル「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」です。

地上49F、地下4F建のステーションタワーは、駅と一体的に開発した複合施設です。

グローバルレベルのオフィス、ハイレベルなホテル、最上部には情報発信拠点「TOKYO NUDE」が開設され、新たなビジネスやイノベーションを世界へ発信する東京の拠点を目指し建設されました。

 

ステーションタワーと虎ノ門ヒルズ森ビル等を結ぶデッキより。

総ガラス張りのシンプルでスタイリッシュな外観です。

 

駅直結。駅の開発も一体的に行なったということで、まずは虎ノ門ヒルズ駅。

プラットホーム、駅構内共にモノトーンで余計な装飾のないのシンプルなデザイン。

そのシンプルな構内に電飾パネルがよく映えます。

そこを抜ければ、虎ノ門ヒルズステーションタワーのエントランスです。

大きな折り返しが続く天井と壁面、そこに上下に浮遊するように構成されたブルーの通路が躍動感ある空間を演出します。

壁面や天井の形状自体は大きな凹凸になっていますが、それを構成するのはフラットで無機質なパネルです。

また、ガラスを多用していて、ガラス面に映り込む形状や色が、空間に奥行きや陰影感を生んでいるように感じました。

 

ステーションタワーで一番印象に残っているのはアクセントカラーの使い方です。

比較的大きな面にアクセントカラーを使い、その空間の雰囲気をつくります。

エントランスはターコイズブルーのアクセントでしたが、ショップ階へ続くエスカレータは赤土のようなレッド。

ショップ階エレベーターホールはメタリックなレッドとイエロー。

まだオープンしていない階もあり、それぞれどんな色なのか気になるところです。

 

TOKYO NODEへ続くエスカレーターは、ライティングや反射でうっすらと金色に見え、その先にはぼんやりと赤い空間が‥この先に何があるのか。と期待感が増す演出です。

エスカレータを上がった先、TOKYO NODEのロビーはシンプルなメタリックの壁面と天井にレッドカーペットが広がります。下から見えた赤い空間は、このレッドカーペットが天井に反射していたのですね。

 

ちなみに、ステーションタワーと森ビルの間に建つグラスタワーのカラーリングはこんな感じです。

ガラス張りの小さな空間に微妙な角度でクロスするエメラルドグリーンのエスカレータ。壁面のオレンジ、空のスカイブルーと相まって爽やかな空間になっています。

 

ステーションタワーに戻って、ショップ街や共有空間のしつらいをご紹介します。

塗調、セメント系石材、メタリックとフラットな素材がメインです。

ショップはこれからオープンする店舗が多いので、どんな店舗が並ぶのか楽しみです。

 

最後に車寄せスペースのご紹介です。

リムジンバスや観光バスにも対応できそうな車寄せ寄スペースです。

屋内がフラットパネルの折り返し天井だったのに対し、半屋外の車寄せはルーバーの天井になっています。風除室でそれが切り替わっているのが面白かったです。(写真左)

 

全体としては、フラットでシンプルな素材を多用し、アクセントは大胆なカラーと素材の透明感や反射を利用した視覚効果。

迫力もあり新しい。でも既視感もある。90年代の建築のリバイバル的要素も感じられるそんな空間でした。

 

まとめと感想

今回レポートした2件は対極のデザインにある施設だと思っていましたが、実際見てみると似ている部分も多く、どちらもインバウンド、グローバルな来訪者を意識し、今の日本を表現・アピールしているように感じました。

主流のマテリアルは、やはりフラットな塗りや金属。ベースカラーは金属質な明るめのグレーが目立ちました。

そこに目を惹くアクセントカラーが加わります。以前は質感のある木などをプラスすることが多かったように思いますが、今回の2件に関しては、質感で見せるよりも、色で魅せるという演出が目立ちました。

このアクセントカラーは、光源や電飾パネルであることも多く、金属や塗調のフラット材が多用されている理由のひとつとして電飾系と相性が良いということがあるかもしれません。

 

また今回、改めて実物を見ることで気づくことも多いと思いました。

外を歩くのも快適な季節になってきました。みなさんもぜひ興味のあるスポットに足を伸ばしてみてください。新しい発見やヒントが待っているかもしれません。

洋菓子のワールドカップ。日本が世界一に!

クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー2023

日本代表チームが使われた木型や道具を、3D技術、
デザインでお手伝いさせていただきました。

 

ここ数ヶ月のMADE in 日本橋での出来事をお知らせ致します。

 

今年1月、フランス、リオンで開催された洋菓子のワールドカップ

クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー
で日本代表が世界一となりましたが、

 

実はMADE in 日本橋でも、大会で使われる木型の制作。
アイスケーキのデザインのお手伝いや、
パティシエさん達が使われる様々な道具を3D技術を駆使しながら
お手伝いさせていただきました。

 

 

最初にご相談いただいたのは大会が始まる半年前、
ここ数年は、フランス、イタリアが3Dの技術を取り入れており、
賞を独占しているので、日本も3Dの技術を取り入れたいということで
今流行りのInstagramを通して知り合い、ご相談を受けました。

 

パティシエさん達の技術、努力の賜物ではありますが、

 

1.型や道具だけが作れる会社でも

2.3Dプリンターだけが使える会社でも

3.デザインだけが作れる会社でも

なく、

 

作り手の思いを汲み取り、上記3つのことができる私たちだからこそ
お手伝い、満足いただき結果へのほんの小さいな力にもなれたのかなと
思っております。

 

常に新しい技術を取り入れ、模様や型を50年作り続けてきた
アスカルの経験、技術力が報われたのかなと思っております。

 

(3Dデータからお菓子の素材まで変える全工程、詳細は内緒です)

 

当社にお越しいただいた方なら、ご覧いただいたことあるかなと思いますが、
当社で作り続けている3Dパターンは現在400を超えています。

今回使用いただいたのは、その中の3つ。
まだまだ私たちができることは多くありそうです。

 

 

 

 

 

 

今回使用したデザインは、建材の業界の中では皆さんも
見慣れたパターンかもしれませんが、
パティシエさんの目からすると斬新で目新しかったようで、

パティシエ界の巨匠。

ピエールエルメさんからも好評だったそうです。

 

日本の物作り、

建材のデザインは、

世界に誇れるクオリティーがあるなと、

 

日々、皆様からご依頼いただき、培ってきた感性、技術があってこそ。

今まで関わられていただいた全ての方のお顔を思い浮かべながら、
その経験あってこそと、とても誇らしい思いです。

 

あくまで私たちの仕事は型という道具作り、黒子ではありますが、
世界のパティシエ界では、有名になりつつあり、、、
次の大会へ向けて準備を進めております。

 

 

3Dで作るパターンを木型という道具へと。
リアルな世界へ出力していますが、

 

メタバース内での建築物への3Dの活用への実験も進めております。

 

デジタルからアナログ(実物)にするにはとても苦労します。

 

今までは原型、型を作り、コストも何百万もかけないと、
建物に表現することができませんでした。

 

でも、デジタルの中で完結できたら、、、、

 

もっと私たちの技術はスムーズに活用いただけそうです。

 

数ヶ月後、数年後かもしれませんが、未来の建物への提案。
また報告できたらと思っております。

 

50年リアルの建物のデザインを考えてきた私達だからこそ、
私達にしか出来ないメタバースの街も彩っていけそうです。

 

 

 

 

今後のMADE in 日本橋のスケジュールのお知らせも!
4月24日から5月24日までの期間。

 

東京新宿のオゾンの中にある「モクション」にて
(全国各地と東京都が連携して行っている国産木材の魅力発信拠点)
隈研吾さんが館長なので、ご存知の方も多いかもしれません。

 

1ヶ月、展示とワークショップをやらせていただきます。

 

一般の方、子供も参加できるワークショップを予定しておりますが、
3D技術を使った、木材の加工、アートパネルなども展示予定なので
ぜひ皆さまお越しください!

 

 

私たちが毎日在中しているわけではありませんので、お越しになられる方、
詳しく説明を聞きたいという方は、ぜひ事前に一報ください。

木材のショールームにて、
木のお話し、建材のお話ができたらと思います。

 

どうぞ引き続き、私たちの活動をお楽しみいただけましたら。
物作りをご一緒できましたら。

 

(株)アスカルデザインプロダクツ 代表 舘野 一也

 

ガラスのクリスマスツリー 今年は「こぎん刺し」デザイン

今年のガラスのクリスマスツリーには、新たに「こぎん刺し」デザインが加わっています。

きっかけは、Made in 日本橋のワークショップで知り合ったこぎん刺し作家さんの<zizi no ie・岡澤さま>からのアドバイスでした。

青森の伝統工芸「こぎん刺し」

こぎん刺しとは、青森県津軽地方の伝統工芸で、日本三大刺し子のひとつで、「モドコ」という基本模様を組み合わせて柄を作っていきます。

・モドコの一部

これら「モドコ」は植物や動物、昆虫、田畑に由来するものが多く、こぎん刺しが暮らしの中から生まれたものであることがうかがえます。

 

現代でも作家さんたちによって、様々な作品に展開されています。

こぎん刺しによる現代の作品/<zizi no ie>岡澤さま

こぎん刺しのパターンを組み合わせて柄をつくっていく作業が通常のデザインワークと通じる部分も多く、また作品を作る要素としてもとても魅力的だと感じ、今年の夏頃からガラスとこぎん刺しを掛け合わせた作品の模索や試作を始めました。

 

方法1)従来通り、耐火石膏に模様をつくりガラスに写しとる。

 

いつものように型をレーザープリンターで作り、石膏型にします。

ガラスを乗せて焼成

しかし、深さが足りなかったのか、柄の出も弱く、点字ブロックのような印象です。

また何より機械的な仕上がりになるのが今回イメージしているものと違い、断念。

方法1で使用した型

 

方法2)ガラスの棒を細かくカットし、こぎん刺し風のガイドに並べて模様をつくる

 

こぎん刺しをイメージしたガイドラインの上に、細く細かいガラスの棒をひとつひとつ並べていくシンプルな方法です。地道で時間のかかる方法ですが、ガラスの歪みや不揃い感があり、作った人それぞれの癖や温もりが仕上がりに表現され、とても温かみのある作品になります。

試作で、去年好評だったガラスのクリスマスツリーを作ってみたところ、制作に時間がかかる分、完成した時の達成感はひとしおで、出来上がりもコラージュのツリーとはまた違ったものになりました。

ガイドラインがあるので、一からデザインを考えなくても良いというメリットもあり、今年のガラスのクリスマスツリーのワークショップに加えることが決定しました。


ガラスのクリスマスツリー ワークショップ

今年は新たに加わったこぎん刺しタイプと、従来の自由にパーツをデザインできるタイプでの開催になりましたが、こぎん刺しタイプの方が半数以上になりました。

こぎん刺しデザインの制作は根気のいる繊細な作業ですが、中には3時間以上かけて制作される方や、小学生の参加もあり、皆さんの集中力や作品に対する思いには感心させられるばかりでした。

どの作品も素晴らしく、今年も世界にひとつだけの最高のクリスマスツリーがたくさん出来ました。

私たちとしては、素晴らしい作品作りのお手伝いをできたこと、そして、日常ではなかなか触れることのない伝統文化を、ワークショップをきっかけに若い方や子どもたちに伝えられたことを嬉しく思います。

 

今後はハンドメイドタイルならぬ、ハンドメイドガラスというか何というか...色々模索しておりますので、期待してお待ちください。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

「テクスチャの可能性に挑戦」

すっかり秋めいてまいりました。

あんなに暑かった夏の記憶が......嘘のようです。

そして、今年の冬はラニーニャ現象の影響で寒いのだとか。

過ごしやすいこの貴重な季節を楽しみたいものです。


今回は久しぶりにインドアでじっくりとデザインに向き合ってみたいと

思います。

昨今の建材の傾向として、住宅や商業施設などの壁材は陰影感のある柄より

フラットタイプが目につくように感じます。

印刷技術の向上に伴いフラット板に印刷で柄をつけた商品が特に人気が

あるようです。

 

そんな中、印刷以外の切り口でフラットの中に何かニュアンスを表現できないか

と色々と可能性を考えています。

素材が何かがわかるというよりはなんとなくテクスチャにニュアンスを感じる、

そんなイメージで新しいテクスチャの表現ができないか模索しているところです。

先ずは身の回りにある布や和紙の表情を拾いながら色々と試行錯誤してみたい

と思います。

元の素材からはイメージのつかなかったテクスチャが生まれてくれると面白い

のですが...

 

◆布の繊維を生かして

うねりの面白さを生かしつつ繊細なニュアンスを拾いました。

 

 オーガンジーの独特な意匠性をさりげなく。

 

ファブリックの横基調を生かしながらラインも自然に馴染むように。

 

元のイメージから思い切って変えてみました。

青と白のクロスしたラインも少ーし感じられるように。

 

◆和紙の繊維を生かして

薄い和紙に立体的なボリュームを感じるように。

 

硬質なイメージに変化できました。

少し引っ掻いた感じの雰囲気もうまく出たように思います。

 

繊細な表情+粒の粗密感が出ました。吹き付け塗装のよう。

 

特徴的な和紙の表情が気持ち悪くならないかなと思いましたが意外と良い感じに。

 

うねりの意匠が強く出るかと思いましたが、思ったよりも複雑な感じに。

塗壁のようにも感じます。

 

ポツポツがシンプルでさりげない質感になりました。

 

ナチュラルな質感の中に機械的な切削が入ったような面白い意匠ができました。

 

繊維質が印象的な和紙ですが、ニュアンスだけうまく残ったように思います。

 

今回のデザインワーク、これはいい感じになるなと思ったものが意外と普通で、これはちょっと気持ち悪くなるかなと思ったものが面白い感じになったりと予想外の部分もあり、なかなか楽しい作業でした。

できたイメージを元にテクスチャサンプル作りも検討中です。

 

他にも植物や抽象的な絵画、具象的なものなど、もっともっと色々な素材で新しいテクスチャ作りをお届けしていきたいと思っておりますので、今後ともご購読いただけましたら幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本橋散策リポート

朝夕に秋の気配を感じられる今日この頃ですが、
皆様夏疲れ大丈夫でしょうか。
今年の夏は本当に長く暑かったですね。
30度くらいだと涼しく感じてしまうくらいでした。
しかしながら日中はまだまだ暑い日が続いておりますので
皆様気を抜かぬよう熱中症に気をつけてまいりましょう。

そんな暑さ冷めやらぬ中、弊社のホームグラウンドである日本橋
小規模店舗の探索に行ってまいりました。
日本橋というと三越高島屋のある中央通りをイメージされる方が
多いかと思いますが、東の方に行くと「浜町」「人形町」「馬喰町」などなど
小さいながら歴史のある店舗が数多く集まる地域があります。
少し前に蔵前や清澄白河におしゃれなカフェや雑貨店が次々に開店して話題に
なっておりましたが、日本橋の東の地域にも少しそんな流れがきているように感じます。

今回は散歩がてら見つけた日本橋の新しいお店をリポートします。

 

「堀留町~馬喰町」

まず、向かったのは事務所を出て東へ「堀留町~馬喰町」。
馬喰町は問屋さんが多い町ですが小売もしてくれるので安く
掘り出し物を見つけられる町です。
特に布や生地などの素材や加工品の店舗がひしめいています。

 

この辺りにニューオープンしたカフェなどの店舗は間口が狭い物件が多いのですが、
店頭にオープンな空間を頑張って作っています。
5階~8階建のビルの1階に入っているケースが多く、
間口に使われている素材は「木」「金属」「コンクリート」が目につきます。

 

■おにぎりがメインメニューのカフェ。店舗の奥にはワークショップなどのイベント空間もあります。

 

■わずかなスペースにテーブル!通行人からの距離も相当近いのでここでくつろぐのは集中力の高い人に違いありません。

 

■カラフルなテラゾーの床とカウンター。フレッシュフルーツジュースのイメージにぴったり。

 

■角地のカフェ。左にぐるっと回るとビルのサイドの空間もテラスに。

 

■奥渋にある「コーヒースプリームトウキョウ」がプロデュースしているカフェ。

 

■入口のスロープがエントランスに幾何的なアクセント。ネイビーの外壁ともマッチしていてスタイリッシュな感じです。

 

自然派ワインの専門店。エントランスは極めてシンプルながら照明がアクセントとなってインテリアショップのよう。

 

 

「浜町」
そして、馬喰町を南下して行くと「浜町」です。
浜町は明治時代からの長い歴史を持つ明治座という劇場が有名です。
また、浜町公園というこの辺りでは比較的大きな公園もあり
公園から望む隅田川の景色はこの辺りの東京のイメージの象徴とも言えると思います。

 

浜町は日本橋地域の中では住居が多い土地でもあります。
比較的静かでマンションなど大型の建物が乱立していますがビルやマンションと低層の建物が混在しているのも特徴です。
そのため、ビルの1階に入っているカフェもあり、昔ながらの低層部物件1棟をカフェに改装しているものもあります。
低層物件のカフェは塗り調の外装が多いように感じました。

 

■ビル、マンションと昔ながらの低層の建物が連立する街並み。

 

■落ち着きある一棟建のレストラン&カフェ。右のカフェは3階まで客席があります。



■ちょっと変わった造りのカフェ。店員さんが一人で切盛りしている様子が窓から見えます。

 

■印象的な形状のビルの一階に入るカフェ。

 

■にょっきりと飛び出たダクトが気になったのですが、ラーメン屋ということで納得。緑の部分は人工芝です。

 

■「LABO」と名前がついているシェアオフィス空間2棟。街並みが落ち着いているので研究所(LABO)がしっくりきます。

 

■一見、八百屋さんのようですがれっきとしたレストラン。こだわりの食材を使っているというコンセプトが伝わる店構です。

 

■先程の「LABO」も然りですが、緑を取り入れた外観の建物が多かったように感じます。

 

人形町

明治座を背中に西に向かうと「人形町」です。
人形町人形町通りや甘酒横丁を中心に飲食店や商店の連なる商業エリアです。
休日はたい焼きやほうじ茶アイス、甘酒、今半のお惣菜の食べ歩きをする人であふれています。

 

昔からある味わい深い老舗にちょこんと挟まれて新しいお店がある様子は伝統とモダンのカオスですがそんなところが人形町の活気につながっているのだと思います。
基本的には元からある建物を生かしつつ内装のみリノベしている店舗が多いです。

 

■路地裏のカフェ。道が狭すぎて正面から撮影できません。2棟とも昔ながらの小さな飲食店と隣接しています。この辺りの飲食店は2階が住居になっている建物が多いようです。

 

人形町通りの一本裏道に入るとたくさんの小さな店舗で溢れています。

 

■面白い店舗を発見。お香のお店で奥に立派な本店舗があるのですが、前にあえてワゴン車で出店風に。気軽に買えるように工夫したのでしょうか?


最後に
なかなか散歩の感覚で会社の周りを歩くこともないので、見えていなかった店舗に改めて気づいた1日になりました。
日本橋エリア、まだまだありますのでまた散歩リポート行ってみたいと思います。
また、散歩リポートの地域のリクエストがありましたらお気軽にご連絡ください!

 






 

 

オリンピック・パラリンピック 建物のその後

東京オリンピックパラリンピックから1年。

あのあたりが今がどうなってるのか気になり、

調査をして参りました。

黒点が今回まわった施設

 

 

オリンピック誘致が決まった2013年から

土壌問題で止まっていた豊洲の市場も、突然急ピッチに工事が始まり、

メイン施設も2018年に竣工。

有明から見た豊洲市場。この富士見橋は車のCMなどでよく見ます。

 

有明エリアも草ぼうぼうのところ重機が入り、

バレーボールの会場になったアリーナは2019年に竣工。

8/20オープン「有明アリーナ」

フライングで行ってしまったため中に入ることができませんでした。

 

すぐ向かいには「有明体操競技場」があります。

競技場は10年を目安に取り壊しになるそうで、

当初からプレハブ扱いだったようです。

軒にはたくさんの木材を使っていて、これが取り壊しとは信じられません。

新国立競技場ほど話題にもならなず惜しい競技場です。

 

さらに海側にはBMXやスケートボードで話題になったパークの跡地があります。

ここも他の競技場と同じく整備され、一般に開放されるようです。

 

またお向かいの晴海エリアは選手村に使用されたマンションが

「HARUMI FLAGS」として2023年竣工予定。

人口増加が著しいエリアです。

 

 

 

有明エリアをさらに海側へ進むと青海エリアに入ります。

ビックサイトや病院がありますが平時は人がほとんどいません。

23年間あったパレットタウンという商業施設も

今年の8月いっぱいで営業を終了し、全て取り壊しになります。

大観覧車と取り壊されたトヨタの情報施設だった「メガウェブ」奥は「ヴィーナスフォート

 

さらに海側に進むと「東京国際クルーズターミナル」があります。

ゆりかもめから「東京国際クルーズターミナル」へ向かう途中

2019年竣工。開業2020年。

存在は認識していたものの、Covidの影響で開業していたことにすら

気がつかなかったので、今回リポートしました。

 

外観。

ガラスが空や建物を反射しており、ギリギリ屋根の反りが見えます。

建物は横から見たら想像より薄いです。

 

植栽(生)とサイン

 

 

大型のクルーズ船が着岸するための施設のようです。

売店もなにもありません。

建物は4階建。

1階はエントランス、2階は検査スペースと案内所。

 

車寄せからすぐのエントランス

 

2・3・4階が吹き抜けでした。

2階。案内所もある。
3階の吹き抜けフロア

床は塩ビ木目、天井もエントランスに木目シート、吹き抜けは木色のルーバー。

ドアなどのフレームはブラック。これといった特徴はなくトイレもほぼ同じ。

気になったのはサインが大きいことでしょうか。

 

 

 

- - - - - - - - - - - -

 

今回はオリンピックの競技場を中心に

その周辺を含め調査をして参りました。

縦に高い建物はよく見かける東京ですが、

横に大きく、空を覆われるような建物はなかなかありません。

円形のイメージが強かった体育館や競技場ですが、

今回調査したものはどれも四角く屋根に反りが見られました。

 

こちらは少し足をのばして見に行った「東京アクアティクスセンター」。

競泳や飛び込みの会場になったプールです。

こちらも入ることが叶わなかったのですが、外観は四角。

お向かいにある東京辰巳国際水泳場1992年竣工。

遊びと夢がまだが感じられるような気がします。

対する今回のオリンピックでできた新しい建物(20193年経過してますが)は

どれもかっこよく、クールで真面目な印象。

 

有明から青海の2018年頃から始まった建設ラッシュですが、

平成に作られた建物もどんどん取り壊されており、

新旧入れ替わりの、世代交代を見ているようです。

旧建物たちには謎のステージがあったり、泉があったりと、遊び心が見られました。

新しくできる建物にも、取り壊されていった建物にあったユーモアが

ほんのちょっとでも受け継がれればいいなとそんなこと思いつつ、

今回のリポートとさせていただきます。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。